●寒いところに長くいると、よくかぜをひきます。それは冷たい空気とウイルスや細菌を吸い込んだとき、鼻、のど、気管の粘膜の血管が収縮して線毛の動きか鈍くなるからです。
●線毛は、いわば私たちのからだの空気清浄器やフィルターとして、チリやホコリはもちろん、ウイルスや細菌の侵入をできるかぎり少なくする働きをします。鼻毛はもちろん、のどから肺へ空気を通す気管の内側にも、線毛かまるでじゅうたんのようにびっしりと並んでいます。
●線毛は、絶えす動いていて、微生物や痰を外へ外へとかきだします。
●線毛の動きが鈍くなると、吸い込んだ少量のウイルスか体の外に排出されずに感染を起こします。
●寒さばかりでなく、線毛周辺に水分が不足した時や、日常の食生活か原因で体内の栄養が低下した場合も、線毛の動きが鈍くなり、かぜをひきやすくなります。
●栄養の低下でウイルスが感染しやすくなるのは発展途上国の研究でよく知られています。
●かぜをひいている人が咳をしたとき、ウイルスか飛び散り、それを周囲の人が吸い込んで、鼻やのどに感染してしまうケースが、かぜの流行の大きな原因です。
●この他、かぜをひいている人がウイルスのついた手でトイレなどのドアのノブをつかみ、他の人が同じノフを触った手で、鼻をこすったりすると、鼻にウイルスが感染します。
●小・中学生の子供達は、出較的かぜをひきやすいとされていますが、死亡率が高いのは、免疫力の弱い乳幼児、お年寄り、妊婦などです。
●かぜのウイルスは、私たちの鼻やのど、気管の線毛細胞に感染できる能力を持ち、そこで増殖しながら、細胞を破壊して外へ飛び出し、近くの細胞にまた感染します。
●破壊された線毛細胞は、線毛が抜け落ちて丸坊主、まるで毛の抜けたじゅうたんのようです。このため、空気と一緒に吸い込まれた毒力の強い細菌を外へ追い出す力か弱まってしまいます。だからウイルスが感染したあとに、細菌の感染が起こりやすいのです。
●スペインかぜやアジアかぜで亡くなった肺炎の患者さんの多くは、この細菌感染による肺炎が原因でした。
肺気腫・肺線維症、肺結核で内科的診断あるいは外科手術を受けたことの
ある人、心弁膜症。
糖尿病、高血圧性心疾患、脳血管障害、寝たきりの人、超高齢者、感染に対する抵抗力が落ちている人。
気管支端息、腎炎、糖尿病など。
かぜの養生、三つのポイント
①保温…温度条件を寒くすると、発熱反応が加速されますから、からだを冷やさないようにしっかり保温しましょう。
@睡眠…睡眠時は、抗体を作るリンパ球の活動が促進されます。つまり睡眠を充分
とることによって抗体をたくさん作る能力(抗体産生能)が上がり、回復が早くなります。
③栄養…栄養のあるものを食べ、水分を補給することも大切。極端に食欲が落ちている場合は、おかゆをとりましょう。